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バッハ演奏 GREENWASH

2025/12/01 (Mon) 10:17:52

近頃はバッハのオルガン曲以外の鍵盤独奏曲を聴くことが多いのですが他の人たちが同じものをどの様に楽しんでいるのかを知るにはAMAZONの一般人からのレビューは僕には打って付けのものです。

そのレビューに引き合いに良く出されるのがグレングードなのですが、なにせ70年以上も前の彼の演奏に始まることなので誤解の生じる事もあるようです。
彼はゴルドベルグ変奏曲の演奏で一躍スターとなるのですがそのレコードは1955年に発売されたものでCDで難なく入手できるものですが、どうやらかなりの人達がが1981年の再録盤をそうとは知らず彼が注目を集めたものと勘違いしているようなのです。

81年のものは55年のものに比較してこれと言った新味が無いということでファンを中心に総スカンを食らったのですが幸いにもこれが彼の遺作となったため大きな難を逃れたという感があります。

どちらの録音にせよグールドはこの曲集に抒情的なものを持ち込み映画音楽のような親しみやすい演奏が50年代の特に若者達の心情に訴えるものがあったようです。実際のところはこれはゴールドベルグ変奏曲に傑出して伺われるところでそもそもこの曲集はそのような可能性を持ったものでその点では平均律曲集とは性格を異にしているようです。

一方エドウイン フィッシャーは1933-36年にかけて現代ピアノによる平均律の初の全曲録音を成し遂げていますがこれが決して学術的なものではなく聴くものに親近感を覚えさせるバッハであったのでそれなりの人気を博したのですが、これからは何もこの点においてグールドが先駆者というわけではないことが認識されることになります。

当時のグールドの人気は時代の風潮に合流したもので64年にはコンサートから退き録音に専念し著名な作曲家の全曲集を発表することになるのですがこれは近年のピアニストが一部の曲の録音で良しとする様な姿勢とは対照的な権威的な感覚が感じられるところです。
演奏中に発される歌とも言えないものは彼に限らずホロビッツなど昔の著名演奏家によくあることでグールドのそれさえも画期的な姿勢として有り難がる者が現れる始末でしたが、彼の死も時代を象徴するものでした。 心臓発作が直接の死因ですが彼は当時欧米で流行した大量のビタミン錠剤の摂取を健康法とし食物も満足に取らないという状況でした。

ただ現代のクラシック演奏家にもよくあることですがポピュラー音楽は好まなかったようで彼の自室を撮った写真にビルエバンスのレコードが映っておりこのことからグールドが彼のファンであるという話しがまことしやかに流れましたが、これに関しては彼自身そのレコードのバックの演奏に興味を持って聴いただけのことだと公言することになったのは興味深いところです。実際ジャズを含むポップスには好意を抱いても好きではないというのが彼らの心情のようです。

近年になって以前とは比較にならない量の歴史的なバッハ録音に接することが出来るようになって独奏鍵盤楽曲ひとつの演奏に関する見解も簡単に片づけることが難しくなってきました。

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