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吹上御所

1:ANTI SDGS:

2024/04/20 (Sat) 05:53:16

僕の学生時代のアルバイト体験の一つに養生屋での仕事がありました。これは主に建築中の建物の養生をする仕事で木部等の汚れや破損を防ぐ為に養生テープを貼ったり剥がしたりまたサッシの分部に付着したセンメントなどヘラで削り落としたり建物内部の簡単な清掃をするもので瓦礫の撤去のような重労働は他の業者の仕事となるので比較的に楽な仕事で賃金も悪くないバイトでした。
そこのバイトを辞めてからも思い出したように手伝ってくれないかとの電話をもらうこともあり1日だけ皇居での仕事があるとの話で僕は大学の友人を誘って参加させてもらったのです。行ってみると実際の仕事は吹上御所内の養生の仕事で汚れた網戸を洗ったりする軽い仕事で日当をいただくのがちょっと申し訳ない気がしましたがこれは恐らく仕事の場所だけに雇い主が万が一の人手不足による失敗を懸念しての充分な人手で対応したいという思惑があってのことのようでした。今でも皇居には勤労奉仕という制度があって草むしり等の奉仕活動があるようですがその作業は御所内には及ばないようです。
仕事中に垣間見た陛下らの使用しているだろうと思われるTVのある茶の間の様子は庶民的なもので当時の僕らの団欒を想像させるものでした。

既に以前から知っていた5名ほどの連中と一緒の仕事でしたが彼らは揃って僕らより2-3年の年長でしたがこの当時数年の違いが与える影響の違いは大きく彼らは一時は学生運動に参加しその時には既に離脱していた連中で音楽嗜好もジャズ中心でしたが僕らは彼らに対しては一目置いていました。

そんな連中と御所を離れて出口に向かう時のことです。ひとりがWHEN I'M 64を歌いだし、いつの間にか全員でこれを口ずさみ始めたのです。これは恐らく当時60代後半の昭和天皇を彼らが思いだしてのことだったようですがどうやらSGTは彼らジャズ世代にもヒットするところが多かったようで皆全曲を諳んじることができるとのことでこれにはちょっと驚きました。

さてここからが本題です。連中にこのバイトをする以前に比較的長くガラス切りの仕事をしていた人がいて彼が言うには少しの練習で可能な高額を稼げる仕事なのだが精神的に病んでしまう人が多く彼自身もその危険を感じたので辞めたとのことでした。
ここで考えられるのはあのガラスに鋭利なものが接触する時に発生する嫌な音のことであれを終日耳にしていることが精神状況に与える影響は大きいに違いないと想像します。

世の中の職業には人間の精神状態に影響を与えるものがあり連続する終夜勤務はその一例です。また昔帽子の製造職人に精神的にも病んだ人が多かったのは当時皮をなめすのに水銀が使用されていたからだとされています。
そして僕が今でも秘かに疑うのは理容師です。あのハサミの立てる音が怪しいのです。理容師には男性を好む人の比率が高いという話も聞きますが、毎日多くの同性の髭剃りの際の接触を続けているうちに男好きになるという説とそもそも同性好きにうってつけの職業だという話はあくまで性的嗜好の問題で精神の病とはは別のことです。僕が言いたいのはその性的嗜好についてではなく昔から理容を職業としている人には気難しい人や孤立した雰囲気の人が多いことでこれはハサミの音の影響があるのではないかと疑うところです。
嫌な音の認知には個人差があり意外なのはハープシコードのあの金属音が苦手だという人もいます。

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